カップヌードルで知られる日清食品。
その日清が、過去に「即席プリクックライス」というインスタントライスを販売していたのをご存じの方はいるだろうか。
ちなみに私は知らない。
1974年の話だもの。
「即席プリクックライス」は、当時にしてはズバ抜けた完成度でシリーズをそろえ、白米、赤飯、ピラフ、ドライカレーと、どれもふっくらと出来上がり、それも、米の品質を問わずに製造出来たという。
当時の担当官庁の農水省も「これは米食をパン並みに手軽にするのではないか。応援するから、ぜひ企業化を急いで欲しい」と応援し、新聞記事も「米食数千年の歴史を画する大発明だ」「インスタント業界の新たな、そして最大の挑戦」と持ち上げた。
会社の資本金の2倍の30億円もの大金をかけて最新鋭の工場を造り、最初から全国一斉出荷をした。
ところが、結果としてこの商品が売れることはなかった。
プリクックライスは当時にして1個200円の価格。
即席麺だと5個買える価格である以上、家で炊いて食べることのできるご飯より、家で作ることの出来ない即席麺を買ってしまうのだそうな。
現在において、マーケティングを行わないで販売に至る商品の方が少ないのではないかというくらい、事前情報の準備には余念がない。
だからといって、これは当時だから起こってしまった過ち、ということで一笑に付すものではない。
持ち上げられていて、落とし穴に気付かないで填ってしまうケースは、事前準備が整っている現在でもあり得る。
ちなみに、日清の失敗と分かってからの「損切り」は早かったそうだ。
過去には失敗したけれど、今改めて市場のマーケティングを行い、再販の準備をしてみてはどうだろうか。
既存の冷凍食品との兼ね合いもあるとは思うが、350円近いカップラーメンが平然とコンビニに陳列される昨今でもある。
アウトドアや怠け者の家、少なくとも地震などの災害が多い昨今では非常食として、有り難がる者が出てくるのではないだろうか。
少なくとも、私なら買います。